
出典あさイチ
不登校の子を支える親の約半数が抑うつ状態、5人に1人が離職。NHKあさイチの特集から、親自身の心を守るヒントをまとめました。
「もう限界かもしれない」と感じているあなたへ
お子さんが学校に行けなくなったとき、真っ先に苦しくなるのは子ども本人だと思われがちです。でも実は、それを支える親御さんの心も、静かに、そして確実にすり減っていきます。
先日放送されたNHK「あさイチ」では、不登校の子どもを支える親を特集していました。そこで紹介されていたデータに、まず胸が締め付けられました。不登校の子を支えながら働く親のうち、約半数が抑うつ状態にあり、5人に1人が離職しているというのです。
「頑張っているのは子どもだから、私がしんどいなんて言っちゃいけない」
そう思ってしまう方も多いのではないでしょうか。でも、それは違います。
見えない負担の正体 ―― 子どもより「夫婦の対応の違い」が消耗する
番組では、宮城県に住むご夫婦のケースが紹介されていました。小学2年生の息子さんが週に1回、腹痛で学校を休むようになり、無理やり連れて行こうとしたときには「行かないで!」と泣き叫んだそうです。
ここで印象的だったのは、お母さんは「まずは休ませよう」、お父さんは「なんとか行かせよう」と、夫婦で考え方が違ったこと。お母さんは、「子どもへの対応より、夫への対応の方が一番消耗した」と振り返っていました。
さらに、その後小学1年生の娘さんも不登校になり、疲弊したお母さんは適応障害と診断され、看護師のお仕事を離職する決断をされたそうです。
これは特別なことではありません。番組で紹介されたNPO法人代表の今村久美さんは、こう指摘していました。
「お子さんが学校に行けなくなった瞬間から、親も”不登校の親”になる。でも、そこまでの心の準備ができていないから、家族間で意見が食い違うのは当然のこと」
一人で「自分の対応が間違っているのかも」と抱え込まなくていいのです。
親が気づいた、3つの大切なこと
番組に登場したご家族の言葉から、心に留めておきたいポイントを3つにまとめました。
① 「休むこと」も回復のプロセスだと知る
先ほどのお母さんは、次第に子どもの状況を冷静に見られるようになり、「子どもも休まないと元気になれないんだ、というのを身をもって知った」と話していました。不登校には、休養期・回復期・復帰期という段階があり、まずは家を安心できる場所にすることが第一歩とされています。
② 小さな笑顔を見逃さない
お父さんは、半年間ふさぎ込んでいた息子さんが、ある日お昼に食べたハンバーガーの話をしながら笑顔を見せた瞬間、「守らなきゃ」と感じ、「もう、あの一番ふさぎ込んでいた表情には戻しちゃいけない」と決意したそうです。子どもの変化を、大きな出来事だけでなく小さなサインの中にも見つけていく視点が印象的でした。
③ 自分と違う道でも、応援する
お父さんはさらに、息子さんが自分とは違う強みを持っていると感じ、「自分が歩んできた道とは違っても、それはそれで応援してあげよう」と考えるようになったといいます。「自分と同じようにならなければ」という思い込みを手放すことも、親自身の心を軽くする一歩なのだと感じました。
「後悔」を語ってくれた、あるお母さんの話
中学2年生から1年間不登校だった蓮さん(16歳)のお母さん・あゆみさんは、はじめの頃の対応を今も後悔していると話していました。
中学3年を控えた春、「この先どうする?」と将来について聞いたところ、蓮さんは嗚咽するほど泣き、体を震わせたそうです。蓮さん本人は当時をこう振り返っています。
「励ましてくれているのはわかっていたけど、どうしてもプレッシャーを感じて、”なんで分かってもらえないんだ”と思って辛かった」
あゆみさんは学校や児童相談所に相談しても具体的な対応策を教えてもらえず、追い込まれていったといいます。そんな中、彼女を勇気づけたのが、不登校の子を持つ親が集まるSNSのコミュニティでした。他のお母さんたちの話を聞きながら「自分も大丈夫だ」と思えるようになり、毅然と息子さんを信じていこうと決意できたそうです。
蓮さんも、お母さんがそのコミュニティに入ってから接し方が変わり、楽になったと話していました。
「お母さんもSOSを出してほしい。横のつながりを作ってほしい」
あゆみさんのこの言葉は、多くの親御さんに届いてほしいメッセージだと感じます。
経済的な負担も、決して軽くない
シングルマザーの葵さん(仮名)は、小学生の息子さんが不登校になったことで看護師を離職し、経済的な負担に悩んでいるといいます。一番辛かったのは、息子さんが「自分のせいだ」と自分を責めてしまうことだったそうです。
学校など複数の場所に相談しても「様子を見ましょう」という回答にとどまり、解決にはつながらなかったといいます。
番組では、フリースクールの費用が月3万円というデータも紹介されていました。学校と違い家庭の負担になるという現実も、無視できない問題です。
相談先は、ひとりで探さなくていい
番組で紹介されていた主な相談先は次の通りです。
- 親の会(今村久美さんが特に勧める相談先)
- 教育支援センター・フリースクール(学びの場所として)
- 学校(担任・校長のほか、スクールカウンセラーがいる場合も)
- 病院
社会福祉士として働く増田結友さんも、中学3年間不登校だった経験を持つ一人です。増田さんのお母さん・美穂さんは当時、「学校に行かせなきゃ」と焦り、教科書を2階から投げ捨ててしまったこともあったそうです。美穂さんは今、「あの母親にはできて、なんで私はできないの、と自分を責めてほしくない」と話しています。
ちなみに、中学校で不登校だった生徒の進路は、9割が進学または就職しているというデータもあります。「今」がすべてではないということも、心に留めておきたいですね。
まとめ ―― まず、誰かとつながること
今回の特集を通して伝わってきたのは、「不登校の家族を支えるには、親自身が孤立しないことが何より大切」というメッセージでした。
- 休むことも、子どもの回復に必要なプロセス
- 家族間で意見が食い違うのは当然のこと
- 小さな変化に気づき、違う道でも応援する
- ひとりで抱え込まず、親の会など横のつながりを持つ
もし今、「誰にも本当の気持ちを話せていない」と感じているなら、まずは親の会やオンラインコミュニティなど、同じ経験をした人とつながる場所を探してみてください。それだけで、心が少し軽くなることがあります。あなたは、決してひとりではありません。


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