リーキーガット(腸漏れ)は、腸壁の細胞間の結合(タイトジャンクション)が緩み、粘膜が傷ついた状態です。これらの栄養素は、その結合を強化し、新しい粘膜細胞の生成を助けるために不可欠です。
1. L-グルタミン (L-Glutamine)
グルタミンは体内で最も豊富なアミノ酸の一つであり、腸粘膜の細胞にとって主要なエネルギー源です。

| 働き | 腸への作用 |
| 粘膜修復・再生 | 傷ついた腸粘膜細胞や絨毛(じゅうもう)の修復・再生を直接的にサポートします。 |
| バリア機能の強化 | 腸粘膜の細胞の代謝を促し、タイトジャンクションの機能維持に貢献します。 |
| 炎症の改善 | 腸内の炎症を抑える作用も期待されており、潰瘍などの改善にも寄与します。 |
摂取源の例
肉類(特に豚肉や鶏肉)、魚、卵、大豆製品(納豆など)。炎症時や激しい運動後など、グルタミンが大量に消費される際には、サプリメントでの補給も有効な選択肢となります。
(ただし、便秘傾向がある方は、グルタミン摂取によって便が固くなることがあるため、摂取量に注意が必要です。)
2. 亜鉛 (Zinc)
亜鉛は、体内の300種類以上の酵素に関わる必須ミネラルであり、細胞の再生に欠かせません。

| 働き | 腸への作用 |
| タイトジャンクションの維持 | 腸のバリアを形成するタンパク質(ZO-1やOccludinなど)の生成と安定化に不可欠であり、腸の透過性が高まるのを防ぎます。 |
| 粘膜細胞の再生 | 新しい細胞の合成を助け、腸粘膜細胞の迅速な回復をサポートします。 |
| 免疫機能の正常化 | 腸の炎症を鎮静化させ、過剰な免疫反応を抑えることにも寄与します。 |
摂取源の例
牡蠣(カキ)、赤身肉、レバー、魚介類、カボチャの種、ナッツ類。
3. ビタミンA (Vitamin A)
ビタミンAは、皮膚や粘膜の健康を維持するために「粘膜ビタミン」とも呼ばれる重要な栄養素です。

| 働き | 腸への作用 |
| 粘膜の保護と分化 | 腸管を含む上皮細胞の分化と健康を維持し、傷ついた粘膜の修復を促します。 |
| 免疫力の強化 | 粘膜の防御力を高め、病原菌や異物の侵入を防ぐ役割(IgA抗体の分泌など)をサポートします。 |
摂取源の例
レバー(鶏、豚)、うなぎ、卵黄、緑黄色野菜(にんじん、かぼちゃ、ほうれん草など)。
ビタミンAをサプリで取るときはミセル化されているサプリが吸収力が高めでお勧めです。
💡 その他のサポート栄養素
上記の3つと合わせて摂取することで、相乗効果が期待できる栄養素です。
| 栄養素 | 腸への作用 | 摂取源の例 |
| オメガ3脂肪酸 | 抗炎症作用により、腸の慢性的な炎症を沈静化させ、バリア機能の回復を助けます。 | 青魚(サバ、イワシ)、アマニ油、えごま油、クルミ |
| ビタミンD | 免疫細胞の調節に関わり、腸の過剰な炎症反応を抑えるとともに、タイトジャンクションの結合をサポートします。 | 魚類、キノコ類(天日干し)、日光浴 |
| ケルセチン | 強力な抗酸化・抗炎症作用を持ち、腸のタイトジャンクションを強化し、アレルギー反応の抑制にも役立ちます。 | 玉ねぎ、りんご、お茶、ベリー類 |
| プロバイオティクス | 腸内細菌のバランスを整え、悪玉菌の増殖を抑えることで、腸粘膜へのダメージを間接的に減らします。 | 納豆、味噌、漬物 |
リーキーガットの改善は一朝一夕にはいきません。グルテンやカゼインなどの除去と、これらの栄養素を豊富に含む食品の摂取を並行して行うことが、健康な腸を取り戻すための最も効果的なアプローチとなります。
参考資料
藤田長久 体の不調は「腸もれ」が原因 株式会社幻冬舎 2021年3月19日



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