子どもたちが外食するとよく利用するファストフード。たまに食べたくなりますよね。しかし、思わぬ落とし穴があります。
ファストフードを食べると体内で特に消耗しやすい栄養素は、主にその食事が持つ「高カロリー・高糖質・高脂質・低栄養」という特性に由来します。
分子栄養学の観点から見ると、エネルギー代謝と解毒の過程で以下のような栄養素が大量に浪費されます。
エネルギー代謝で大量に消費される栄養素
ファーストフードのほとんどは、精製された糖質(パン、ポテト、甘い飲み物)と脂質(揚げ油、肉の脂身)に大きく偏っています。これらの三大栄養素を体内でエネルギーに変換する過程で、以下の栄養素が大量に使われます。

| 栄養素 | 消耗する理由 | 影響 |
| ビタミンB群 | 糖質と脂質の代謝酵素の補酵素として必須です。特にB1は糖代謝、B2とB3は脂質・糖質の代謝に大量消費されます。 | 慢性的な疲労、倦怠感、神経系の不調、肌荒れ、口内炎。 |
| マグネシウム | エネルギー通貨であるATPを生成する酵素や、インスリンの働きを助けるために必須のミネラルです。 | 集中力の低下、イライラ、筋肉の痙攣、不眠、低血糖症状。 |
| CoQ10(コエンザイムQ10) | エネルギー工場であるミトコンドリアで、電子伝達系を動かすために必要な補酵素です。 | エネルギー産生の低下、心臓機能への負担。 |
酸化ストレス・炎症への対応で消耗される栄養素
ファーストフードには、揚げ物に使われる酸化した油脂(トランス脂肪酸や過酸化脂質)や、食品添加物が多く含まれる傾向があります。これらを摂取すると、体内で活性酸素が発生し、炎症や酸化ストレスが増加します。
| 栄養素 | 消耗する理由 | 影響 |
| ビタミンC | 最も強力な抗酸化ビタミンの一つとして、活性酸素を消去し、体内の炎症に対抗するために大量に消費されます。 | 免疫機能の低下、風邪を引きやすくなる、疲労感の増大、コラーゲン合成の低下。 |
| ビタミンE | 脂溶性の抗酸化物質として、特に細胞膜の脂質の酸化を防ぐために働きます。酸化した油脂の摂取で消費が増加します。 | 老化の促進、細胞のダメージ。 |
| 亜鉛 | 体内の多くの酵素(特に解毒や抗酸化に関わる酵素)の構成成分として使われ、免疫機能にも重要です。 | 味覚障害、免疫力の低下、皮膚炎。 |
まとめ
ファーストフードは、代謝の燃料である糖質・脂質を大量に供給する一方で、その燃料を燃やすための着火剤であるビタミンB群やマグネシウムをほとんど供給しません。その結果、体は貯蔵していた貴重な栄養素を「持ち出し」で消費することになり、現代型栄養失調と呼ばれる状態を引き起こします。
精神科医が考えた!心を強くする食事術 藤川徳美著 参照



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