なぜ上司は夕方4時に怒り出すのか

分子栄養学
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『気分の9割は血糖値』

医師・小池雅美さんの本『気分の9割は血糖値』が2025年10月22日に発売されました。

なぜ上司は夕方4時に怒り出すのか

 夕方になるとだんだん機嫌が悪くなる、あるいは怒り出すという人はいませんか。

 その日の仕事が終わりそうになかったり、納期が近づいて焦りがあったりするのかもしれません。でもそれは、他の人も同じ条件のはずです。なぜその人だけ怒り出すのでしょう。

「あの人はああいう性格だから」と周りの人もあきらめているかもしれません。しかし、それは「性格」ではなく、血糖値の乱れ(低血糖)が原因の可能性があります。
 
 本人も「こんなことで怒るのは恥ずかしいぞ」と思っていたとしても、体が暴走してしまって歯止めが利かないのです。

営業職のAさん(43歳)の場合

 Aさんは午前中のうちはスムーズに仕事が進み、会議でも冴えた発言を連発しています。

昼食は、外に出てカフェでサンドイッチとカフェラテ。時間がないのでさっと済ませて会社に戻ります。ところが、午後3時を過ぎたあたりから、空気が変わってきます。なんとなく集中できない。頭がぼんやりして、段取りがつかめない……。
 とりあえずコーヒーを飲んで気分転換をしようとするAさんですが、思ったよりも効率は上がりません。納期の近づいてきた仕事が今日中に終わるかどうか、怪しくなってきてしまいました。

 夕方4時。部下が提出してきた書類の内容に目を通しながら「これ、ちゃんと確認したのか」と口調がつい強くなってしまいます。

 その声に圧倒されたのか「いえ、あの……」とたじたじになる部下。その反応にも苛立ち、さらに部下を強い言葉で叱責。自分でも「まずい」とは思うけれど、抑えが利きません。

 Aさんはその怒りのスイッチの正体が、「自分の血糖値の乱高下」だとは思ってもいません。

じつはこのとき、典型的な「血糖値スパイク→血糖値急降下→反応性低血糖→気合とカフェインで交感神経が緊張」という流れが起こっているのです。

 サンドイッチとカフェラテ、つまり「糖質+カフェイン」の昼食で急激に血糖値が上がったため、膵臓が慌ててインスリンを大量に出し、その結果、血糖値が急降下してしまったのです。

 すると脳は「エネルギーが足りない!」と判断し、防御モードに入ります。このとき、感情のブレーキ役である前頭葉の働きが落ち、怒りや攻撃性をコントロールできなくなるのです。

 さらに、夕方はストレスに対処するホルモンであるコルチゾールの分泌も下がり始める時間帯。血糖維持のためにさらにアドレナリンが必要になります。

 夕方に不機嫌になるのも、誰かにきつく当たってしまうのも、自分の意思の問題ではありません。性格の問題でもないのです。血糖が脳に与える影響による、体の反応なのです。

 血糖値は私たちが想像する以上に、心や体と深くかかわっているのです。

東洋経済新聞株式会社より引用

血糖値の乱れが引き起こす「心身の不調」とは?

  • 食後の眠気は血糖値が急に上がるから起きる症状です。また夕方4時ごろのイライラ・焦燥感は血糖値が下がっているのです。昔から3時のおやつと言いますが、理にかなっていますね。血糖値が下がりきる前に少し補食を取ることを勧めています。著者は「小さなおにぎり」「みそ汁」など、少量の糖分・たんぱく質を組み合わせた補食をすすめています。
  • 「血糖値が下がる」状態は生命の危機と脳が判断し、自律神経に大きな負担をかけ、不調の根っこになります。

「体調管理」を超えた戦略的スキルとしての血糖コントロール

  • ビジネスを制する:血糖を安定させることは、常にベストパフォーマンスを出せる状態をキープするための「戦略的スキル」。血糖が安定していれば、冷静な判断力やスタミナが維持され、仕事の成功率が高まるそうです。
  • 「ゼロポイント」「菩薩モード」:静かでぶれない、淡々とした安定感、つまり血糖値が安定した状態を手に入れることが、最高のパフォーマンスを引き出す鍵となるとのことです。例えばカフェとかでもケーキとコーヒーを食べている人たちの声は、食前より断然大きくなっていますよね。これは菩薩モードではないですね。

血糖を安定させるための具体的な鍵

  • 食事の工夫と順番
    • 血糖値の上昇を緩やかに:空腹時にいきなり高糖質なものを食べないこと
    • タンパク質と間食:健康的な間食の実践や、たんぱく質を意識した食生活が大切
  • 筋肉を「血糖のタンク」として活用する
    • 筋肉の役割:筋肉は糖をグリコーゲンとして蓄える「血糖のタンク」であり、血糖値の安定に大きく寄与する。特に太ももの筋肉が重要。
    • 運動習慣:長時間座っていることが多いビジネスパーソンや受験生は、筋肉が衰えやすいため、1日数分のスクワットやストレッチで筋肉内の代謝を動かし、脳への血流を良くすることが重要

カフェインの摂取や鉄不足といった要因も血糖コントロールや体調に影響を与えるため、注意が必要です。

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