NHK 更年期障害 対策ガイドとホットフラッシュの新薬

更年期
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この記事では、2025年11月11日(火)のNHK「きょうの健康」で取り上げられた更年期障害について紹介します。

女性の「更年期障害」は症状がさまざまですが、治療薬も多岐にわたります。大切なのは、自分の症状タイプに合う治療薬を選択することです。薬を組み合わせる場合もあります。今回は、ホルモン補充療法(HRT)や漢方をはじめ、症状に合わせた薬の選び方を専門家に教えていただきます。気になる副作用や注意点は?さらに最新研究で明らかになった「ホットフラッシュ」のメカニズムも!更年期障害の治療の最新ガイドです!

更年期障害の主な薬

更年期障害の治療で使われる薬には、ホルモン補充療法で使うホルモン製剤、漢方、睡眠導入剤、向精神薬などがあります。更年期障害の症状は、血管運動神経症状、精神神経症状、身体症状の大きく3つのタイプに分けることができます。タイプによって薬の効果に差があるため、症状に合わせて、薬を使い分けることが大切です。

ホルモン補充療法(HRT)の効果

更年期障害で使われる代表的な薬のひとつが、ホルモン補充療法で使うホルモン製剤です。更年期に減少した女性ホルモンをほんの少し足すことで、さまざまな症状の改善が期待できます。

ただし、症状のタイプによって効果に差があります。ホルモン補充療法ガイドライン2025年度版によると、ホルモン補充療法の効果は、血管運動神経症状にはA+(非常に高い)、精神神経症状にはA(高い)、身体症状にはB(症状によって違う)となります。特に、血管運動神経症状に高い効果が期待でき、多くの場合、薬を使い始めてから2〜3週間ほどで、ホットフラッシュなどの症状が改善されます。

ホットフラッシュは血管運動神経症状の中でも代表的な症状ですが、なぜ起きるのか、これまで明確にはわかっていませんでした。しかし、最新研究で、体が体温調節する精巧な仕組みと、ホットフラッシュの発症のメカニズムが明らかになってきています。

更年期を迎える前は、脳の視床下部から「エストロゲンを出して」という命令が卵巣に届くと、卵巣から十分な量のエストロゲンが分泌されます。すると、脳はエストロゲンが正常に分泌されていることを察知して、体温調節に関わる神経細胞、「キャンディニューロン」が正常に働くことができます。

ところが、更年期になると、脳の視床下部から「エストロゲンを出して」という命令があっても、卵巣の機能が低下して、エストロゲンが十分に分泌されません。すると、脳がエストロゲンを察知できず、「エストロゲンを出して」という命令を出し続けてしまいます。

こうなると、体温調整にかかわるキャンディニューロンが誤作動を起こして、のぼせ・ほてりと言ったホットフラッシュが起きるのです。

一方、ホルモン補充療法によってエストロゲンが補充されると、脳が「エストロゲンが正常に分泌されている」と認識します。すると、キャンディニューロンの誤作動が抑えられ、ホットフラッシュが改善するというわけです。

ホルモン補充療法を開始すると、「性器の不正出血」や「乳房の張りや痛み」「胃のむかつきや吐き気」などが現れることがありますが、1か月から3か月程度で治まることがほとんどです。また、ごくまれに血栓症を引き起こすことがあります。

私の場合、3日くらいで胃のむかつきは落ち着きました

以前は、ホルモン補充療法を行うと乳がんになるリスクが高くなると言われていましたが、最近の研究で、ホルモン補充療法が乳がんの発症に与える影響は、肥満やアルコール摂取が与える影響と同程度で、とても小さいということが分かってきています。

ただし、女性の9人に1人が乳がんに罹患(りかん)するので、乳がん検診は推奨されているとおりにしっかり受診した上で、担当医とよく相談して、ホルモン補充療法を受けることが望ましいです。

ホルモン補充療法 受けられる人、注意が必要な人

ホルモン補充療法は、乳がんや脳卒中、心筋梗塞にかかったことがある人は受けられません。たばこを吸う人、肥満の人は、もともと血栓症リスクが高いため注意が必要です。ホルモン補充療法を受けられるかどうかは、担当の医師に確認することが大事です。

ホットフラッシュの新薬が臨床試験中

血管運動神経症状のひとつ、「ホットフラッシュ」については、ホルモンを補充するのとは別の薬の開発が進んでいます。ホットフラッシュを引き起こす神経細胞「キャンディニューロン」の誤作動を抑える薬です。アメリカでは2023年に承認されていて、日本では2025年現在、臨床試験中です。承認が下りれば、ホルモン補充療法を受けられない人にも使える薬となります。

この新しいお薬「fezolinetant =フェゾリネタント(商品名VEOZAH=ベオーザ)」は非ホルモン剤ですから、乳がんの既往などでホルモン補充療法が受けられない方や、ホルモン剤に抵抗がある方でも使用できそうです。この新薬はアステラス製薬が開発しました。多くの女性がホットフラッシュの心配から解放されるのではないかと期待しています。

症状タイプにあわせた漢方の使い分け

更年期障害の治療には漢方を使うケースも多いです。ただ、症状のタイプによって効果に違いがあるので、薬の使い分けがより大切になります。

私は加味逍遥散を飲んでいます

更年期障害の治療に使われる代表的な漢方は、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」「加味逍遙散(かみしょうようさん)」「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」の3つです。

「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」は、「のぼせ」「ほてり」など、「血管運動神経症状」が強いタイプの人に効果が高いという報告があります。

「加味逍遙散(かみしょうようさん)」は、不安や睡眠障害など、「精神神経症状」の強い人への効果が高いという報告があります。ホルモン補充療法との併用も可能なので、血管運動神経症状と精神神経症状の両方の症状が強い場合は、ホルモン補充療法と一緒に使用することも多いです。

私の場合、落ち込みがあったのでそのことを医師に伝えたら、加味逍遥散を処方してくれました。

「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」は肩こり、めまい、疲れなどの「身体症状」が強い人に高い効果が得られるという報告があります。

ただ、これらの漢方は、その人の体力や病気に対する抵抗力などの強さ、これを「証(しょう)」と呼びますが、証によって違います。漢方治療はオーダーメイドにおこなうのが基本なのです。同じ症状でもその人のタイプ「証」によってちがう漢方薬が選択されます。

イライラに効果的な抑肝散(よくかんさん)、抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)、気分の落ち込みに半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、不安、不眠に加味帰脾湯(かみきひとう)など、さまざま漢方が症状やタイプにあわせて使われます。

これらの漢方は、主に現代の多忙な生活のなかで、忙しくて落ち着かない人などの、精神神経症状が強い人に効果が高いとされています。上の表で紹介している漢方はすべて保険適用です。

漢方には副作用もあります。抑肝散(よくかんさん)などに含まれる生薬の一つ「甘草」を多量に服用すると、「偽アルドステロン症」という高血圧などの副作用を起こすこともあり、注意が必要です。また、加味逍遙散は、まれに「腸間膜静脈硬化症」などが報告されています。使い続ける場合は、定期的に検査をしながら、医師とよく相談して使うことが大事です。

睡眠導入剤 向精神薬

更年期障害の治療で使われる薬には、睡眠導入剤、向精神薬などもあります。これらの薬は、精神神経症状の強い人に使われます。ただ、婦人科などで使用するケースは少なく、精神科、心療内科などで使用されることが多い薬になります。

NHKより引用

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